トップひとりごと>その14

「塔」のカードの時

  ウィキペディア(英語)の塔のカードのページ

私は、阪神・淡路大震災の時、兵庫県西宮市に住んでたんや。西宮では、あん時、1000名以上の人が亡くなったんや。私は、幸いにして、深い傷を受けんですんだんやけどな。
それでも、私にとって、タロットののカードは、阪神・淡路大震災のカードでもあるんや。
あの「塔に落雷し、人間が落下しているカード」な。

私らは、知らず、知らずのうちに、今日と同じような明日がやってくるって思ってるんやなぁ。

どんな寒い日でも家に帰って、暖房のスイッチを入れれば、部屋が暖かくなって
ポットのお湯を使って、暖かい飲み物を口にして
ご飯を作るのが邪魔くさかったら、近所のコンビニでお弁当を買ってあっためてもろたんを食べて
脱いだ衣服を洗濯機に入れて、洗剤を入れて、ボタンを押しさえすれば、洗濯ができて
トイレに行って、用をたして、水を流せば、何事もなかったようになって
お風呂に入って
眠くなったら、暖かい布団にくるまって、眠りについて

そして、何より、ただいまって、家族が帰ってくる・・・

そやけど、私らが当然と思い込んでた豊かさが、一瞬のうちに崩れ落ちてまうことが、あるんや。
無慈悲で悲惨な今がやってきて、もう一度、昨日に帰りたいと願っても、どうすることもできず、ただただ、空を仰ぐ時・・・

もちろん、のカードが出たら、恐ろしい天災が起こるってことやないで。
たとえば、一人暮らしを始めて、自分がこれまでいかに、いろんなことを親任せにしてたか、骨身にしみた・・・なんて時も、このカードが象徴するんやろな。

人の人生を占うタロットにこのカードがあるってことは、人生には、そういう局面がありうるってことなんや。
何の問題もないと思ってたのに、すべてが崩れていってまうような時。
当たり前に思ったらあかんもんを当たり前に思ってたって、苦い思いとともに感じる時。
自分は、もとは体ひとつでこの世の中にやってきたんやって、思い知る時。

思えば、人類が歩いてきた道には、何度も、何度も、こののようなことがあったんやろな。
たとえば、戦争、大飢饉、災害、疫病・・・
今日と同じような明日どころか、今日を生き延びれるのか、食べ物をどこで調達して、どこで眠ればいいのかさえ、見当もつかないような状態。

それでも、そんな時でも、私らのご先祖様は、とにもかくにも必死でその時を生き抜いてきたんや。
そんで、私らは、みんな、そういう人たちの子孫なんや。必死で生き抜いて、つないだ命の先に、私らはいるんやから。
そやから、私らの中には、そういうご先祖から受け継いだDNAが宿ってるはずなんや。

今回の震災が、あの阪神・淡路大震災の規模を超えて、私らのほとんどが経験したことのないような深い傷跡を残すことは、残念ながら、避けられへんやろ。
それでも、それぞれの人が、それぞれに、自分の立場で、今を丁寧に生きていくしか、答えはないんとちゃうやろか。

あののカードのように、あやういまま物を積み上げて、崩壊してしまったのならば、今度は、ひとつづつ、丁寧に物を積み上げていくしか、ないんとちゃうやろか。どんなに地道で苦しい作業に見えたとしても・・・。

そして、たぶん、私らの中に眠るDNAが力を貸してくれるはずや。

私は、今、被災地と呼ばれる場所の外側におるけど、医療や運送のプロではないから、車に燃料や食料や暖かい布団を積んで、燃料切れと戦いながら、極限の状態を超えて、途絶しかかった道をたどってくようなことはでけへん。
そやけど、自分にできる範囲内のお金を寄付する他に、今を丁寧に、そやけど普通に生きて、そんで、つらい立場にいる人のために祈ることだけはできると思うんや。

 このページの先頭へひとりごとのトップページへ

車の両輪

「夢を見ること」
そんなん、絶対、実現でけへんわで終わってしまわんと、こうやったらええな、こうしてみたいなって思うこと。

「実現すること」
やろうと思ったことに愚直なまでに必死になれること。

その両輪があって、前に進んでいけるんやと思うで。
それから、一生懸命なことが目的になったらあかんで。それは手段やからな。

 このページの先頭へひとりごとのトップページへ

ただ、言葉を使うだけで

ただ楽器があるだけで、ええ音楽が演奏できるもんやない。

ただ絵の具があるだけで、ええ絵がかけるもんやない。

なのに、ただ言葉を使うだけで、伝わるって思い込んでたりするんや。
相手が親しい人であればあるほど。

 このページの先頭へひとりごとのトップページへ